中絶の知識

帝王切開をした人は中絶手術ができない?リスクなどをご説明

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

「帝王切開をした人は中絶手術が受けられない?」
過去に帝王切開を経験した方のなかには、このような疑問を感じるケースがあるのではないでしょうか。
本記事では、帝王切開後の中絶手術に関するよくある質問をピックアップし、解説していきます。

「帝王切開をしたけど中絶手術を受けられるだろうか」
「どのような流れで中絶手術を受けるのだろう」
これから中絶手術を検討している方の場合、上記のような疑問を感じるケースがあるかもしれません。
ぜひ本記事を読み、疑問を解消したうえで、必要に応じて中絶手術を検討してください。

帝王切開後は中絶手術を受けられる?

結論からいうと、帝王切開を経験している方であっても、中絶手術を受けることは可能です。

ただし、現在の妊娠状態や前回の帝王切開瘢痕部分の状態、今回の胎児の着床部位との位置関係などが重要になります。

帝王切開瘢痕症候群によって生じた瘢痕部に胎嚢が着床した状態を「帝王切開瘢痕部妊娠」と呼びます。
帝王切開術をおこなう際は、子宮体部下節の横切開で実施されることが多いです。
まずは切開創の状態を確認し、次に胎児の着床部位と切開創との位置関係を確認します。

とくに癒着胎盤や前置胎盤を合併しやすいため、最大限考慮する必要があります。

帝王切開後の中絶をおこなうリスク

過去に帝王切開術を受けている方で、子宮口に子宮筋腫がある方の場合は子宮の入口を拡張する必要があるため、手術時間が長くなります。

手術時間が長くなると、麻酔時間の延長や母体への負担が増加し、出血量が増える可能性があります。

また、帝王切開を経験している方の場合、術前処置をおこなわなければなりません。
その際におこなうのが、子宮頸管内に棒状の器具を挿入し、熟化作用と拡張作用を施す作業です。

術前処置では、大きな痛みが起こり、身体的な負担がかかりやすいとされています。
とはいえ、中絶手術は安全性に配慮された形で実施するため、さほど心配することはないでしょう。

帝王切開をおこなって、1年以内に妊娠してしまったら中絶する必要がある?

結論からいうと、中絶手術をする必要はなく、出産することは可能です。
ただし、分娩管理が整備された病院でフォローを受けることが大切です。

妊婦健診時に胎盤の位置と帝王切開瘢痕部分の精査を実施し、注意しながら胎児の健康状態を確認する必要があります。

帝王切開後に受ける中絶手術の費用

帝王切開後の中絶手術の費用は、基本的に通常の中絶手術と同様です。
中絶費用は妊娠週数によって異なります。

妊娠11週6日までの初期中絶の場合は10〜25万円程度、妊娠12週〜22週未満の中期中絶の場合は20〜50万円程度とされています。

帝王切開後に中絶手術を受ける流れ

まずは、診療の予約をとりましょう。
予約なしでも対応してもらえるクリニックはありますが、予約をしたほうがスムーズに案内してもらえるため、可能な限り予約をすることをおすすめします。

診察当日は、正常妊娠かどうかを確認し、妊娠週数の正確な日数を把握する必要があります。

また、アレルギー・持病・中絶経験の有無や、最終月経・月経周期・既往歴などを確認するために、問診を受けなければなりません。
このときに、帝王切開の経験がある方は申し出ておきましょう

確認が終わったら、術後のケアや中絶手術について担当医から説明があります。

手術前は血液検査をおこない、B型肝炎・C型肝炎・梅毒・HIVなどの感染の有無や血液型を確認する必要があります。
また、内診検査では淋菌感染症検査や子宮頸部癌検査、クラミジア感染症検査も実施する場合があるでしょう。

中絶手術当日は、帝王切開の経験がある方の場合は中絶手術前に術前処置を実施するケースがあります
中絶手術は、初期段階のほうが体に負担がかかりにくく、費用面での負担も少ない傾向があるでしょう。

一方で、中期手術になると、体にかかる負担や費用面での負担が多くなる可能性があります。

妊娠して初期の段階で中絶の意思がある場合は、なるべく早めの決断をすることをおすすめします。
「中絶するべきか悩んでいる」「どうしていいかわからない」
このようなお悩みを抱えている方は、一度医療機関を受診し、担当の医師に相談してください。専門の医師の話を聞き、後悔のない決断をしましょう。

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監修医師
赤松 敬之
赤松 敬之
医療法人星敬会 西梅田シティクリニック 理事長
平成25年3月 近畿大学医学部卒業。平成26年4月から済生会茨木病院にて内科、外科全般の研修を行う。平成28年4月より三木山陽病院にて消化器、糖尿病内科を中心に、内視鏡から内科全般にわたり研鑽を積みながら勤務。「何でも診る」をモットーに掲げる病院での勤務の中で、働き世代の忙しい方が通いやすいクリニックを目指し、令和2年9月西梅田シティクリニック開設。
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