中絶後の月経と性交渉の再開時期|望まない妊娠を防ぐ避妊法と緊急避妊薬

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

中絶手術は心身に大きな影響を与えるものであり、再び望まない妊娠を繰り返さないために正しい知識が必要です。

本記事では、中絶後の月経や性交渉の再開時期、緊急避妊法(アフターピル・IUD・IUS)、そして再妊娠を防ぐためにできることをまとめて解説します。

中絶手術後に月経はいつ戻る?

一般的に、中絶手術後 30〜50日程度で月経が再開 します。
ただし、2か月以上経っても生理が来ない場合は、ストレスやホルモンバランスの乱れによる月経不順の可能性があります。
放置せず、医療機関を受診してください。

性交渉はいつから再開できる?

  • 出血が止まる 術後2週間以降 が目安
  • ただし、この時期は 排卵と重なる可能性があるため妊娠リスクあり
  • 体の回復が確認できるまでは避けることが望ましい

再開のタイミングは必ず医師と相談し、自分の体を優先してください。

確実に避妊をすることが重要

妊娠は「必ず出産しなければならない」というものではありませんが、望まない妊娠を繰り返すことは身体的・精神的な負担を大きくします。
そのため、中絶後は 確実に避妊を行うことが最も重要 です。

緊急避妊法という選択肢

避妊ができなかった、もしくは失敗したときに取れる方法が 緊急避妊法 です。

アフターピル

  • 性交渉後72時間以内に服用
  • 排卵を遅らせ、受精や着床を防ぐ
  • ヤッペ法:中用量ピルを2回に分けて服用(副作用が多め)
  • レボノルゲストレル法:1回1錠の服用で妊娠阻止率が高く、副作用も少ない

IUD(子宮内避妊具)

  • 性交渉後5日以内に子宮に挿入
  • その後数年にわたり避妊可能
  • 装着直後に腹痛や出血が起こる場合あり

IUS(子宮内避妊システム)

  • 黄体ホルモンを放出するタイプの子宮内避妊具
  • 高い避妊効果に加え、月経量の減少や月経痛の軽減も期待できる

繰り返し中絶を防ぐために

  • 中絶後も排卵が起こればすぐに妊娠する可能性があります
  • 低用量ピルミレーナ(IUS) の活用で安定した避妊が可能です
  • 避妊は自分だけでなく、パートナーと共通認識を持つことが大切です

中絶のリスクや避妊の重要性をパートナーにも理解してもらうよう努めましょう。

中絶後の心身への影響

身体面だけでなく、精神的な影響(不安・抑うつ・睡眠障害など)が残る場合があります。
これは「中絶後遺症(PAS: Post Abortion Syndrome)」と呼ばれるPTSDの一種で、適切なケアを行えば数か月で回復できるとされています。

気になる症状が続く場合は、心療内科や婦人科に相談してください。

まとめ

  • 月経は中絶後30〜50日で再開するのが一般的
  • 性交渉は出血が止まった2週間後から可能だが、排卵期と重なるため避妊が必須
  • 緊急避妊にはアフターピル・IUD・IUSがある
  • 望まない妊娠を防ぐためには、低用量ピルミレーナなどの継続的な避妊も有効
  • 身体だけでなく精神面のケアも大切。不安があるときは医療機関へ相談を

参考文献

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監修医師
赤松 敬之
赤松 敬之
医療法人星敬会 西梅田シティクリニック 理事長
平成25年3月 近畿大学医学部卒業。平成26年4月から済生会茨木病院にて内科、外科全般の研修を行う。平成28年4月より三木山陽病院にて消化器、糖尿病内科を中心に、内視鏡から内科全般にわたり研鑽を積みながら勤務。「何でも診る」をモットーに掲げる病院での勤務の中で、働き世代の忙しい方が通いやすいクリニックを目指し、令和2年9月西梅田シティクリニック開設。
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