中絶の知識

中絶手術の術式の違いについて|MVA式・掻爬法【ソウハ法】

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

中絶手術の術式には複数の種類があることをご存知でしょうか。
吸引法・ソウハ法にはそれぞれのメリット・デメリットがあります。

本記事では、各術式の特徴を比較しながら解説します。
これから中絶を検討している方や知識を深めたい方は参考にしてみてください。

妊娠の週数によって変わる?中絶手術の種類とは

妊娠中絶手術は、妊娠週数によって方法が異なります。
妊娠12週未満は初期中絶妊娠12〜22週未満は中期中絶と呼ばれています。

初期中絶手術の場合、子宮内容物を書き出す・吸い出す方法です。
一方で、中期中絶の場合は、入院して分娩する形になります。

中期中絶は体への負担が大きく、費用が高くなります。
また、死亡届を提出する手間が発生することもあるため、初期段階で中絶手術を決めている場合は速やかに初期中絶手術を受けましょう。

吸引法(MVA式)とソウハ法の違い

吸引法とソウハには違いが複数あります。
以下の表を確認し、それぞれの違いを確認のうえ、適切な手術を受けましょう。

吸引法(MVA式)ソウハ法
手術方法ストロー状のやわらかい器具を子宮内に挿入し、子宮内容物を吸い出すスプーン上の鉗子や器具を活用し、子宮内容物を掻き出す
手術時間比較的短い長くなる場合がある
術前処置不要
※ただし、手術当日の静脈麻酔後に必要に応じて子宮口を広げる処置をおこなうケースがある
必要な場合が多い
※手術当日の静脈麻酔後に必要に応じて子宮口を広げる処置をおこなうケースがある
合併症の
リスク・頻度
少ないやや多い
特徴WHO世界保健機構や国際産婦人科連合でも推奨されている日本で主流
メリット体への負担が少ない子宮内の状態が手に伝わるため、状況把握がしやすい
デメリット国内で実績のある医師が少ない手術時間が長く、出血や炎症などが発生するリスクがある
痛み静脈麻酔を実施するため、痛みを感じることはあまりない手術前日に子宮口を広げる際、痛みを感じる場合がある

当院で用いるMVA式(手動真空吸引法)とは

吸引法には、自動吸引法(EVA)と手動真空吸引法(MVA)の2種類があります。
MVAは、従来のEVAより新しい手法であり、患者さんの体に対する負担が少ないのが特徴です。

EVAとMVAの違いは、手術の際に使用するカニューレと呼ばれる器具です。
金属製のカニューレを採用しているのがEVAであり、プラスチック製を採用しているのがMVAになります。

金属よりプラスチックのほうが柔らかくしなやかであるため、子宮にカニューレを挿入する際の痛みが軽減できます。
また、プラスチックの場合、子宮頸管やその他の組織がダメージを受けにくくなります。
さらに、MVAは手動で吸引をおこなうため、微妙な吸引力の調整が可能です。
そのため、安全性に配慮された方法といえます。

MVAは手術音が小さいため、麻酔をかけている患者さんの眠りを妨げにくくなります。
手術時間も比較的短時間で済むため、患者さんの負担がより軽減されるでしょう。

体に優しいMVAについて

MVAは日本産婦人科手術学会において、低侵襲かつ有効な手術手技と位置づけられ、推奨されています。
比較的痛みが軽減され、体への負担が少ないのが特徴です。
また、ディスポーザブルのキットであるため、感染リスクも最小限に抑えられるのもメリットといえます。
とはいえ、吸引法やソウハ法のどちらが良いか悩む場合もあるでしょう。
インターネットや書籍などで調べても違いがいまいちわからない方もいるかもしれません。
このような場合は、一度医療機関を受診することをおすすめします。
専門の医師に相談のうえ、それぞれの特徴やメリット・デメリットを確認してみるとよいでしょう。

気になることや不安なことがあれば気軽に医師に相談しよう

中絶手術は、妊娠の初期段階で中絶の意向が強い場合は、早めに決断することが大切です。

まずは一人で抱え込まず、知人や友人、家族などに相談してみましょう。
それでも方向性が見い出せない場合は、医療機関の医師に相談してください。
大事なことは自分自身を大事にすることです。
無事に手術を終え、再び健康な状態から新しい人生をスタートさせていきましょう。

医療機関では、さまざまな患者さんの症例・パターンを経験しています。
そのため、患者さん一人ひとりに合わせた無理のない手術・治療方針を提供できます。
気になることや不安なことがあれば気軽に担当の医師に相談しましょう。
また、看護師にも相談してみることをおすすめします。
心身の健康を大事にしながら、一歩ずつ後悔のないよう決断していきましょ

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監修医師
赤松 敬之
赤松 敬之
医療法人星敬会 西梅田シティクリニック 理事長
平成25年3月 近畿大学医学部卒業。平成26年4月から済生会茨木病院にて内科、外科全般の研修を行う。平成28年4月より三木山陽病院にて消化器、糖尿病内科を中心に、内視鏡から内科全般にわたり研鑽を積みながら勤務。「何でも診る」をモットーに掲げる病院での勤務の中で、働き世代の忙しい方が通いやすいクリニックを目指し、令和2年9月西梅田シティクリニック開設。
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