中絶の知識

中絶後にいつから仕事復帰できますか?翌日から働いても問題ありませんか?

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

中絶手術後にいつから仕事復帰できるか不安に思う方がいるのではないでしょうか。
1日でも早く仕事に戻り、遅れをカバーしたい方もいるでしょう。

本記事では、中絶手術後の仕事復帰に関する考え方や、自宅に戻ったあとに知っておくべき注意事項について解説します。
身体の状態が安定するまでは決して無理することなく、安静に過ごしてください。

中絶手術したあとにすぐに仕事はできる?

結論からいうと、初期中絶の場合は問題ない場合が多いものの、中期中絶の場合は数日間仕事を控えることをおすすめします。

初期中絶とは、妊娠12週未満の妊婦が受ける中絶手術です。
一般的に腹部エコーを活用し、胎盤と胎児を確認しながら吸引チューブで吸い出す吸引法をおこないます。
吸引法は麻酔時間が比較的短く、子宮内膜に傷がつきにくい手法であり、約3分で終了する方法です。
手術が終わり、1〜2時間程度安静にしたら帰宅できます。(来院から帰宅までの時間や約3時間程度です)
手術後、翌日からは普段どおり仕事できるでしょう。初期中絶の場合、中期中絶に比べて身体への負担が比較的少ないためです。

とはいえ、最終的な判断は医師がおこないます。個人差もありますので、中絶手術後に仕事復帰したい方は、医師へ相談してください。仕事復帰する場合でも、手術後数日間は決して無理をせず、安静にしておきましょう。

中期中絶とは、妊娠12〜21週の妊婦が受ける中絶手術です。
中期中絶の場合、妊娠14週以降は人工的に陣痛を起こし、一般的な出産と同様の分娩方式でおこないます。
初期中絶に比べて身体への負担が大きいため、手術後数日間は仕事を控え、安静にすることをおすすめします。
どうしても早々に仕事復帰したい方は、初期中絶の方と同様に必ず医師へ相談してください。

中絶手術後に発生するリスク

中絶手術後に発生するリスクとしては、おもに以下が想定されます。

腹痛

中絶手術後は、子宮が収縮しており、普段の生理痛よりも強いお腹の痛みが起こる場合があります。
子宮内に血液がたまると、より腹痛が強まるケースもあるでしょう。
手術後1ヶ月程度経過してから痛みが起こる場合がありますが、市販の生理痛の薬で改善することがほとんどです。

発熱

中絶手術後37度以上の熱が生じる場合があるものの、術後3日以内であり、38度以下であれば次第に改善していきます。
一方で、38度以上の高熱が継続し、腹痛がともなう場合は子宮内感染が疑われます。抗生剤の投与によって改善が期待できますが、症状が続く場合は医師に相談してください。

出血

中絶手術後、数日〜2ヶ月程度出血が継続する場合があります。
一方で、出血が2〜3ヶ月全くない場合もありますが、いずれの場合も正常なケースがほとんどです。
出血の原因は、女性ホルモンの分泌が減少することで生じる消退出血や産後の子宮筋の収縮不良による弛緩出血が関係しています。
少量の出血が長期間継続すると子宮内に血液が蓄積し、レバー状になる場合がありますが、次第に軽減されていくケースが多いです。
多量の出血が継続する場合は、担当の医師へ相談してください。

中絶後に生活するうえで気をつけること

中絶手術後は、身体にかかったダメージが回復できていないため、以下の点に注意して安静にしておきましょう。

過度な飲酒を控える

中絶手術後は、身体が回復するために多くの栄養やエネルギーを要します。
アルコールを過度に摂取すると、体内のアルコール分解が優先され、回復が遅くなる場合があります。
また血管が弛緩し、出血量が増えるケースもあるため、注意が必要です。
子宮が元の状態に回復し、出血がない場合は飲酒しても問題ないと判断されることもあります。気になる方は、医師に相談してください。

処方された薬を適切に服用する

中絶手術後は、感染予防や痛みの抑制などを目的とした薬を処方されます。
適切に服用できていない場合、感染や痛みのリスクが生じるため、処方された薬は用法用量を守って使用してください。
また、服用開始した薬は、医師の指示どおりに飲み続けることが大切です。

衛生面に配慮した生活を心がける

感染症を予防するために、中絶手術後の入浴(バスタブに浸かる)は控えましょう。
また、あわせて銭湯やサウナ、プールの利用も控えてください。
タンポンは感染リスクとなるため使用しないようにしてください。

手術後、1週間経過したらバスタブに浸かって入浴しても問題ないでしょう。
身体が回復するまでは免疫力が低下している可能性があるため、ナプキンやタンポンを長時間利用することは避けてください。

中絶後にデスクワークや軽い家事などはOK!無理のない範囲でおこなおう

中絶手術後、仕事復帰を検討する方は、医師に相談のうえ無理のないよう行動しましょう。
まずは身体への負担が少ない軽い作業や家事から慣らしていくことをおすすめします。

もし、体調が悪化し、日常生活に支障をきたす場合は速やかに医療機関を受診してください。
中絶手術後の生活に関して、気になる点や不安に思うことがあれば、担当の医師に気軽に尋ねてみましょう。

LINEでのご相談

監修医師
赤松 敬之
赤松 敬之
医療法人星敬会 西梅田シティクリニック 理事長
平成25年3月 近畿大学医学部卒業。平成26年4月から済生会茨木病院にて内科、外科全般の研修を行う。平成28年4月より三木山陽病院にて消化器、糖尿病内科を中心に、内視鏡から内科全般にわたり研鑽を積みながら勤務。「何でも診る」をモットーに掲げる病院での勤務の中で、働き世代の忙しい方が通いやすいクリニックを目指し、令和2年9月西梅田シティクリニック開設。
Recommend
こちらの記事もどうぞ
記事URLをコピーしました