中絶の知識

中絶経験のある人の割合は?中絶手術を繰り返さないために

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

中絶経験のある方は、幅広い世代で存在しますが、若年層のなかには望まない妊娠をしてしまったことで、苦しみながら決断する人がいます。
また、その後の人生をずっと後悔し続ける方もいるでしょう。

本記事では、中絶手術を経験した方の実情や、中絶を繰り返さない方法を解説します。
望まない妊娠を避けるために適切な避妊方法を選択し、後悔のない人生を歩んでいきましょう。

中絶経験のある人の割合は?

厚生労働省が発表した衛生行政報告例によると、2021年度の人工妊娠中絶届出件数は、126,174件前年度から15,259件減少しています。

また、50歳以上を除くすべての年齢で件数の減少がみられました。
20歳未満では、19歳が4,051件であり最も多く、次に18歳が2,466件でした。

一方で、出生数に中絶数を加えた「妊娠中の中絶割合」は全体では13,5%でわずかに減少したものの、14歳以下は79.6%・15〜19歳は61.9%・45〜49歳では43.9%・50歳以上では48.7%と高い割合を示しました。

未成年が中絶を選択する理由

未成年が中絶を選択する理由として、以下のようなことが挙げられます。

  • 収入が少なくて子どもが育てられないから
  • 年齢が若すぎるから
  • 未婚であるから
  • 子育てに自信がないから
  • 学業に差し支えるから
  • 親が反対するから

未成年の場合は、年齢が若すぎるという理由で中絶をする女性が数多くいるのが現状です。
子どもを産むと、食費や学費、生活費といった養育費用がかかるため、特に未婚の場合は「このまま生活していけるだろうか」という収入面の不安が募ります。

学生の場合は学業に支障が出てしまい、希望する進路に進むことが困難になります。
好きな人の子どもだから産みたいと思っても、なかなか家族の理解が得られず、厳しい反対意見をもらった結果、妊娠を断念する人もいるでしょう。

中絶は人生における一つの選択です

中絶は一部の人からすると、望ましい決断ではないと捉えられることもあります。
とくに日本では、産まない選択をすることは悪いことと思われがちですが、産むことだけが美徳ではありません。
それが望まない出産であれば、妊娠する女性や生まれてくる子どもの幸せにはつながらないでしょう。

産む選択も産まない選択も、女性にとって重みは同じであり、他人に良い悪いの判断はできません。
人工妊娠中絶は自分の人生を他人に左右されるものではなく、「自分の人生を自分のものとして生きるために用意された選択肢」です。
当院では、産まない選択肢も尊重し、安心して施術が受けれらるようにサポートしております。

中絶手術を繰り返さないために、正しい避妊方法を

中絶手術を繰り返さないためには、望まない妊娠を避けることが重要です。
そのためには、コンドームを使用し、避妊しなければなりません。
しかし、コンドームを使用したからといって100%妊娠を阻止できるわけではありません。
以下のようなケースに該当する場合、避妊の確率が下がり、望まない妊娠につながってしまうことがあります。

  • 勃起前にコンドームを装着した
  • コンドーム装着時に先端に溜まった空気を抜かなかった
  • コンドーム装着時に下まで降ろさずにつけた
  • 射精の寸前にコンドームを装着した
  • 射精後すぐにコンドームを腟から抜かなかった
  • コンドームに絡まった陰毛から精液が漏れてしまった


腟外射精するからといってコンドームを使用しない方がいますが、このような行為は非常に危険です。
必ず正しい方法でコンドームを装着することを心がけましょう。

腟内に出された精子を洗い出すためビデを利用する行為も、全く意味がありません。
それどころか腟を傷つける原因となり、細菌感染につながるケースもあるため注意しましょう。

また、生理中の性行為は排卵が起こらないからと軽視されがちですが、コンドームを使用せずに性行為をすると妊娠するリスクが高くなります。
子宮内膜症や感染症にもつながるため、この時期の性行為は控えてください。

万が一、危ないと感じたら緊急避妊法であるピルを服用することも検討しましょう。
緊急避妊は、性行為で避妊ができなかった場合に対処するための方法です。
コンドームなどで対策をしていても、失敗してしまった場合は速やかにピルを服用してください。

中絶手術は妊娠初期段階であれば比較的負担なく受けられますが、中期段階の手術になると、心身にも金銭的にも相当な負担がかかります。

望まない妊娠を避けるため、避妊について正しい知識を持っておく事が大切です。

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監修医師
赤松 敬之
赤松 敬之
医療法人星敬会 西梅田シティクリニック 理事長
平成25年3月 近畿大学医学部卒業。平成26年4月から済生会茨木病院にて内科、外科全般の研修を行う。平成28年4月より三木山陽病院にて消化器、糖尿病内科を中心に、内視鏡から内科全般にわたり研鑽を積みながら勤務。「何でも診る」をモットーに掲げる病院での勤務の中で、働き世代の忙しい方が通いやすいクリニックを目指し、令和2年9月西梅田シティクリニック開設。
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