初期中絶と中期中絶の違いとは?知っておきたい大切なポイント

初期中絶 中期中絶
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

中絶手術を検討している女性の中には、「初期中絶と中期中絶、どちらを選べばいいのか」と悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
それぞれの時期や方法によって、身体への負担や費用、入院の有無などが異なるため、判断に迷うのは自然なことです。
本記事では、初期中絶と中期中絶の違いについてわかりやすく解説します。

妊娠週数の数え方や手術が可能な時期、中絶方法の違いなど、判断の参考になるポイントをおさえていきましょう。

妊娠週数の数え方は?わからない場合はどうすればいい?

妊娠週数は、最後の月経が始まった日を基準に数えます。
生理が始まった日から6日間を「妊娠0週」、7日目から13日目までを「妊娠1週」とカウントしていきます。

「最終月経日がわからない」「月経周期が不規則で正確に把握できない」という場合でも、医療機関で妊娠週数を確認することが可能です。
エコー検査では、胎児の頭の先からお尻までの長さを測定することで出産予定日を割り出せます。

中絶手術を検討している方は、正確な妊娠週数を把握したうえで手術を受けましょう。

中絶手術が受けられる妊娠周期

日本では母体保護法により、中絶手術が受けられるのは妊娠22週未満(妊娠21週6日)までと定められています。

万が一妊娠22週以降で中絶をすると、中絶をおこなった医師や手術を受けた患者さんも罪に問われます。
そのため、妊娠22週以降を超えた場合は、出産する以外の選択肢がありません。

金銭的な事情で子どもが育てられなかったり、育児環境に問題があったりする場合は里親制度や特別養子縁組制度などが利用できます。
家族や友人、医療機関の医師などと相談しながら、納得のいく選択をしましょう。

初期中絶と中期中絶について

初期中絶と中期中絶は、妊娠期間や中絶方法、入院の有無や費用などが異なります。
以下の表を踏まえ、それぞれの概要を理解しておきましょう。

初期中絶手術中期中絶手術
妊娠期間妊娠11週6日目まで妊娠12週0日〜21週6日目まで
中絶方法吸引法、ソウハ法人工的に陣痛を起こす
入院の有無日帰り手術のため入院不要2〜3日の入院が必要
手術可能な医療機関母体保護法指定医母体保護法指定医かつ
入院設備を完備した医療機関
費用(目安)10~20万円40~60万円
痛み麻酔によって痛みが抑えられる通常の出産と同様の痛みが伴う
所要時間5〜10分術前処置が必要であり、
1日以上かかる
母体保護法による分類人工妊娠中絶人工死産
届出死産届は不要死産届を区役所へ
提出する必要がある
埋葬不要埋葬許可証を取得のうえ
埋葬が必要

初期中絶の場合、麻酔によって痛みが抑えやすくなりますが、中期中絶の場合は通常の出産時と同様の痛みが出る可能性があります。
また、手術費用に関しては初期中絶の場合が10〜20万円程度かかるのに対し、中期中絶の場合は40〜60万円程度かかります。

手術可能な医療機関の内容としては、初期中絶の場合は母体保護法指定医が必要であるのに対し、中期中絶の場合は「母体保護法指定医+入院設備を完備施設」が条件です。

産婦人科によっては、初期中絶手術しかできない施設もあります。
中期中絶手術を受ける場合は、インターネットを活用し、対応可能な医療機関をリサーチする必要があります。

初期中絶と中期中絶の違い

初期中絶と中期中絶の主な違いは、身体にかかる負担です。
初期中絶の場合、身体に負担のかかりにくい吸引法でおこなうため、中期中絶に比べて心身へのダメージが抑えやすくなります。
一方で中期中絶の場合、母体のホルモンバランスが大きく変化する時期になるため、術後の体調を戻すのにも時間を要します。
そのため、初期中絶よりも費用や手術時間がかかり、身体に与える負担が大きくなるでしょう。
妊娠後、中絶を検討している場合は、なるべく早い時期に手術を受けることをおすすめします。
中絶するか迷っている場合であっても、まずは妊娠しているかを確認し、正確な妊娠週数を把握しておくことが重要です。
医療機関の受診をためらったり、先送りしたりすることなく、速やかに行動しましょう。

受診の目安としては、月経開始予定日を1週間過ぎても生理が来ないタイミングがおすすめです。
市販の妊娠検査薬で調べ、陽性判定が出た場合は産婦人科を受診し、尿検査を受けてください。

妊娠週数が進むにつれて身体の負担は強くなるため、早めの選択を

妊娠週数が進むにつれて身体の負担は強くなり、手術に要する費用も高くなります。
市役所への届出や埋葬など、中絶後の手間も多くなるため、中絶を検討している方は速やかに医療機関を受診してください。
受診する際は、以下の「手術が可能になる条件」を今一度チェックしておくことをおすすめします。

  • 妊娠4週目以降に陽性反応と妊娠反応がみられた
  • 胎嚢があり、子宮外妊娠などの異常がみられない
  • 必要書類が揃っている

中絶手術自体は、妊娠5〜6週でも可能ですが、子宮や胎嚢の大きさなどの状態によっては妊娠6〜9週目の手術が望ましいケースがあります。

医師の指示に従い、適切なタイミングで手術を受けましょう。

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監修医師
赤松 敬之
赤松 敬之
医療法人星敬会 西梅田シティクリニック 理事長
平成25年3月 近畿大学医学部卒業。平成26年4月から済生会茨木病院にて内科、外科全般の研修を行う。平成28年4月より三木山陽病院にて消化器、糖尿病内科を中心に、内視鏡から内科全般にわたり研鑽を積みながら勤務。「何でも診る」をモットーに掲げる病院での勤務の中で、働き世代の忙しい方が通いやすいクリニックを目指し、令和2年9月西梅田シティクリニック開設。
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