思わぬ妊娠で後悔しない決断を!中絶の流れ・費用・準備

思わぬ妊娠 中絶 費用 準備
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

予期しない妊娠は、誰にとっても大きな戸惑いと不安をもたらします。
将来のこと、パートナーとの関係、経済的な問題、そして自分自身の気持ち…。
一度に多くのことを考えなければならず、冷静な判断が難しくなることもあるでしょう。

そんなときこそ必要なのは、感情に流されすぎず、自分の体と心を守るための正しい知識です。

中絶を選ぶかどうかは、非常に個人的で繊細な決断です。
外からの価値観に振り回されず、「自分にとって何が一番大切なのか」を考える時間と情報が必要です。
このコラムでは、中絶手術の対象となる妊娠週数の数え方から、手術までの流れ、費用、当日の注意点、そして手術後のケアまでをわかりやすく解説します。
誰かを責めるためではなく、あなたが後悔のない選択をするために。
どうか一人で抱え込まず、この記事が少しでも冷静な判断の助けとなれば幸いです。

中絶手術が可能な妊娠週数(数え方)を知っておこう

日本では母体保護法により、中絶手術が可能なのは原則として妊娠22週未満までとされています。
ただし、一般的な中絶手術は妊娠12週未満(初期中絶)と、それ以降(中期中絶)で大きく方法が異なります。
手術に関する選択肢やリスクも変わるため、できるだけ早い段階での受診が望ましいとされています。

妊娠週数は「最終月経の初日」から数えます。
排卵や性交日ではなく、月経開始日が基準となる点に注意が必要です。
例えば、最終月経の開始日が4月1日であれば、その日から数えて2週間後が排卵日(受精日)である可能性が高く、妊娠6週目に入る頃には胎嚢や心拍の確認が可能になります。

中絶手術を受けるまでの流れ

1.来院

まずは産婦人科やレディースクリニックに予約を取り、受診します。
プライバシーに配慮した対応をしてくれる医療機関を選びましょう。

2.診察

問診と内診、必要に応じて超音波検査を行い、妊娠の有無と週数を確認します。
感染症の有無や健康状態もチェックされます。

3.手術日の決定と予約

妊娠週数や体調を踏まえ、手術可能な日を相談して決定します。
多くの施設では日帰り手術が可能ですが、中期以降になると入院が必要となる場合もあります。

4.手術同意書の説明

母体保護法のもと、中絶手術には本人とパートナーの同意が原則必要です。
ただし、事情によっては本人のみの同意で進められるケースもあります。
同意書の記入方法や必要事項について、医師や看護師から丁寧な説明があります。

5.費用と手術当日の説明

手術にかかる費用、支払い方法、当日のスケジュール、付き添いが必要かどうかなどについて説明があります。
必要な書類や持ち物もこの時に案内されます。

6.手術日前日

前日は食事制限飲水制限が指示されることがあります。
また、処方された薬(抗生剤や整腸剤など)の服用が必要になることもあります。
詳しくは医師の指示に従いましょう。

7.手術当日

来院後、点滴や麻酔などの準備が行われます。
麻酔は静脈麻酔が一般的で、手術自体は5〜10分程度で終了します。
術後は1時間ほど院内で安静にし、出血や体調に問題がなければ帰宅できます。

8.手術後について

手術後数日は出血や軽い下腹部痛が続くことがあります。
通常は自然に治まりますが、発熱や異常な出血がある場合はすぐに医師へ連絡してください。
1〜2週間後には経過観察のための再診が必要です。

費用と持ち物

中絶手術にかかる費用は、妊娠週数やクリニックによって異なります。
目安として、初期中絶(〜11週)では約15万円前後、中期中絶(12週〜)では40万円以上かかる場合があります。
保険適用外であり、原則として全額自己負担となります。
費用に含まれるもの:診察料、超音波検査料、手術費、麻酔費、薬代など

必要な持ち物:保険証、現金またはクレジットカード、同意書、基礎体温表(あれば)、ナプキンや着替え(必要に応じて)

クリニックによっては生理用ショーツや衛生用品を準備してくれる場合もありますが、念のため事前に確認しておくと安心です。

中絶手術当日の注意点

手術当日は絶食や絶飲が必要な場合があります。
麻酔の影響で吐き気や嘔吐のリスクがあるため、医師の指示に従いましょう。
リラックスできる服装で来院し、術後は安静にできるよう、付き添いがいるとより安心です。
また、当日は車の運転は避け、公共交通機関やタクシーでの移動をおすすめします。
心身ともに負担がかかる日ですので、当日・翌日は無理をせず、ゆっくり過ごすようにしましょう。

中絶後の体と心のケア

手術後は身体だけでなく、気持ちの面でも揺らぎが生じやすくなります。
ホルモンバランスの急激な変化や、決断をめぐる葛藤から、不安や落ち込みを感じることも少なくありません。
そうした心の変化は「異常」ではなく、ごく自然な反応です。
自分を責めたり、我慢したりせず、必要であれば医師やカウンセラーに相談しましょう。
また、パートナーや信頼できる友人に話すことで、心の負担が軽くなることもあります。

避妊についても、術後1回目の生理から妊娠が可能になります。
次の妊娠を望まない場合は、術後の再診時に医師と避妊方法について相談するのがおすすめです。

予期せぬ妊娠は、誰にでも起こりうることです。
大切なのは、自分の体と心を守るために、正しい情報をもとに冷静に判断することです。
そして一人で悩みを抱え込まず、必要なときには医療機関や信頼できる支援先に相談することです。

どんな選択をするにしても、それはあなた自身の人生を大切にするための一歩です。
周囲の意見や偏見に傷つくことがあるかもしれませんが、自分の気持ちを最優先にして構いません。

この記事が、その決断の一助となり、少しでも心が軽くなるきっかけになれば幸いです。

参考文献

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監修医師
赤松 敬之
赤松 敬之
医療法人星敬会 西梅田シティクリニック 理事長
平成25年3月 近畿大学医学部卒業。平成26年4月から済生会茨木病院にて内科、外科全般の研修を行う。平成28年4月より三木山陽病院にて消化器、糖尿病内科を中心に、内視鏡から内科全般にわたり研鑽を積みながら勤務。「何でも診る」をモットーに掲げる病院での勤務の中で、働き世代の忙しい方が通いやすいクリニックを目指し、令和2年9月西梅田シティクリニック開設。
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