妊娠週数別の中絶方法とリスク
中絶手術は将来の妊娠に影響する?不妊リスクと術後のケアを徹底解説

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
妊娠や出産は女性にとって大きな出来事ですが、予期せぬ妊娠で中絶を選択せざるを得ない場合もあります。
その際に気になるのが 「中絶手術は将来の妊娠に影響するのか?」 という点ではないでしょうか。
本記事では、人工妊娠中絶の基本、中絶が妊娠に与える影響、考えられる合併症や不妊リスク、さらに中絶後の適切なケアについて解説します。
人工妊娠中絶とは
人工妊娠中絶は、母体保護法 に基づいて認められた医療行為です。
定義としては「胎児が母体外で生存できない時期に、人工的に母体外へ排出すること」とされています。
- 実施できるのは 妊娠22週未満(21週6日まで)
- 一定の条件を満たす場合のみ可能(母体の健康上の理由や経済的理由、性被害など)
手術を行えるのは 母体保護法指定医師 に限られる
中絶が将来の妊娠に与える影響

基本的な考え方
中絶手術は身体に負担がかかりますが、正しく安全に行われた場合、将来の妊娠や出産に大きな影響を及ぼすことは少ない とされています。
「中絶=不妊になる」というのは誤解であり、多くの方がその後も妊娠・出産を経験しています。
起こりうる合併症
ただし、手術には以下のようなリスクが伴います。
- 発熱:ホルモン変化で微熱が続くことがある。38度以上が3日続く場合は受診を。
- 頭痛・めまい:子宮収縮やホルモン変動により一時的に起こる。
- 不正出血:7〜10日ほど生理のような出血が続くことがある。異常に多い場合は要相談。
- 情緒不安定:心理的ストレスにより落ち込みや不安感が強まることがある。
これらは多くが一時的なもので、適切にケアすれば回復します。
中絶手術を繰り返した場合のリスク
1回の中絶で将来の妊娠に影響が出ることはまれですが、複数回行うことで不妊リスクが高まる可能性 があります。
- アッシャーマン症候群:子宮内膜が癒着し、月経異常や不妊の原因になる
- 子宮内膜の薄化:着床障害につながる
- 月経異常(無月経・過少月経):ホルモンバランスの乱れや子宮環境の変化による
ただし、現在は子宮への負担が少ない MVA法(手動真空吸引法) など安全性に配慮した方法が主流であり、適切な手術を受ければ将来の妊娠への影響はほとんどありませ
中絶手術後のケア
中絶後は身体的にも精神的にもケアが必要です。
身体のケア
- 医師の指示に従って安静を保ち、処方薬を正しく服用する
- 出血や痛みが強い場合は早めに受診する
- 術後1週間は湯船・温泉・プールを避け、シャワーのみで清潔を保つ
- 飲酒・喫煙・過度な運動は控える
精神面のケア
中絶は大きな心理的負担を伴うため、気持ちが不安定になることもあります。信頼できる家族や友人、または医師や専門家に相談することが大切です。
再妊娠を希望する場合
- 2回目の生理を待ってから妊活を始めるのが望ましい
- 術後診察で子宮の回復を確認してから性交渉を再開する
妊娠を望まない場合
- 中絶後2週間ほどで排卵が起こる可能性があるため、避妊は必須
長期的には 低用量ピル や ミレーナ(子宮内避妊具) の利用も選択肢
まとめ
- 中絶手術は基本的に将来の妊娠・出産に大きな影響を与えない
- 複数回行うと、子宮内膜の癒着や薄化などにより不妊リスクが上がる可能性がある
- 術後は出血や痛みなどの症状に注意し、医師の指示に従うことが大切
- 身体面だけでなく精神的なケアも必要
- 将来の妊娠を望む場合も望まない場合も、術後の正しいケアと避妊が重要
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