中絶手術を複数回おこなっても、再度妊娠は可能ですか?
「中絶手術を複数回おこなうと、妊娠しにくくなる?」
これまでに複数回の中絶手術を経験した方のなかには、このような疑問を抱く方がいるのではないでしょうか。
結論からいうと、複数回の中絶手術を経ても、妊娠しにくくなることはありません。
しかし、中絶手術による症状やリスクはともないます。
本記事では中絶手術によって起こりうる症状・リスクを解説します。
手術前にこれらを把握し、正しい知識をもった状態で中絶手術を受けましょう。
中絶手術を2回以上おこなっていても妊娠はできますか?
中絶手術を2回以上おこなっていても妊娠は可能です。
中絶手術自体が妊娠に直接的な影響を与えることはありません。
現代の医療技術の進歩により、痛み・月経困難症・月経不順・不妊症を引き起こすアッシャーマン症候群はほとんどみられなくなりました。
中絶手術の回数に制限回数はありませんが、妊娠を望まない場合は避妊をすることが大切です。
中絶手術後は、定期的な検診を受け、体調管理を徹底していきましょう。
中絶手術後に起こる可能性のある症状
中絶手術後は、以下の症状が発症する可能性があります。
手術を受ける前に把握しておきましょう。
吐き気・嘔吐
麻酔が効きやすい方の場合、吐き気や嘔吐が起こる可能性がありますが、術後2時間程度で治まる場合がほとんどです。
もし、吐き気が続く場合は飲食をしばらく控えてください。
めまい
麻酔の影響により、めまいや頭痛が起こる場合があります。
覚醒後30分程度で回復に向かいますが、めまいがある場合は無理して単独行動しないようにしましょう。
また、帰宅する際に車の運転は控えてください。
必ず付き添いの方に迎えに来てもらうようにしましょう。
出血
中絶手術後、1〜2週間程度、生理のときのような出血が継続する場合があります。
個人差はあるものの、ほとんどの場合は、数日で出血量が治まります。
痛み
数日〜7日程度、生理痛のような痛みが起こるかもしれません。
これは拡張した子宮が元の大きさに戻ろうとするためです。
覚醒後に痛みが気になる場合は、痛み止めの点滴を受けることで和らぎます。
また、帰宅後も対処できるよう、痛み止めを処方してもらえます。必要に応じて薬を使用してください。
発熱
中絶手術によって妊娠が終わると、女性ホルモンが減少し、発熱が起こる場合があります。
37度台の熱が1〜2ヶ月継続する場合がありますが、異常ではありません。
もし38度台の熱が腹痛にともなって1日以上継続する場合は医療機関を受診してください。
逆行性健忘
まれに記憶が抜け落ちるケースがありますが、ほとんどは30分程度経つと回復します。
PTSD(心的外傷ストレス)
中絶手術の影響で心にダメージが残りPTSD(心的外傷ストレス)になる方がいます。
中絶手術後に起こるリスク
中絶手術後は、以下のリスクがあります。
手術前に医師から十分な説明を受けておきましょう。
感染症
中絶手術では子宮頸管が拡張していることで感染リスクが生じます。
しかし、手術は衛生面に配慮した環境でおこなわれ、リスクを最小限にしておこなわれます。
ただし、クラミジア感染などの性感染症に罹患していると、骨盤腹膜炎などを起こすリスクが生じるでしょう。
手術前は性病検査をおこない、陽性の場合は抗生剤を投与することでリスクを低減させる必要があります。
繊毛遺残
繊毛遺残とは、中絶手術で取り除かれるべき組織の一部が取り残される状態です。
とくに子宮が変形したり、子宮疾患があったりするとリスクが高まる場合があります。
リスクを低減するために、超音波検査で確認し、吸引法で除去します。
また、手術後に診察をおこなうことで繊毛遺残の防止をしなければなりません。
子宮頚管損傷
子宮頚管損傷とは突発的に子宮頚管を拡張してしまうことで起こる状態です。
WHOや日本産婦人科医会では、急激な頸管拡張を避ける事前処置を推奨しています。
医療機関では、上記に準じて処理がなされます。
望まない妊娠は避けよう
中絶手術は、身体に負担がかかるものです。
初期中絶の場合、比較的費用や身体への負担が抑えられます。
一方で、中絶手術の場合、費用・身体への負担ともに大きくなります。
また、身体に生じるリスクも増える可能性があるため、早い段階で中絶を決めている場合は医療機関を受診し、手術を受けましょう。
どうしても迷いが生じ、判断に困る場合は家族や友人、知人に相談してみてください。
それでも事態が変わらない場合は、医療機関を受診し、医師に相談しましょう。
2回以上中絶していても妊娠に影響することはない
中絶手術を2回以上しても妊娠がしにくくなることはありません。
しかし、中絶手術後のリスクは拭えません。
手術する前に起こりうる症状・リスクをしっかり把握したうえで臨みましょう。
手術に関し、不安に思うことや気になる点があれば担当の医師に相談してください。