緊急避妊薬(アフターピル)の効果と副作用|妊娠阻止率と正しい使い方

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

避妊をしていても思わぬ失敗が起こり、「妊娠してしまうかもしれない」 と不安になる方は少なくありません。そんなときに検討されるのが 緊急避妊法(アフターピルやIUD) です。

本記事では、日本で利用できる緊急避妊薬の種類や特徴、効果の違い、副作用、そして注意点について詳しく解説します。

緊急避妊の方法は2種類

現在、緊急避妊法として主に利用されているのは以下の2つです。

  1. 緊急避妊薬(アフターピル)
  2. 銅付加IUD(子宮内避妊具)※現在は国内製造終了

それぞれについて見ていきましょう。

緊急避妊薬(アフターピル)

日本で承認されている緊急避妊薬は レボノルゲストレル錠 で、商品名は「ノルレボ錠」または「レボノルゲストレル錠」。

  • 服用タイミング:性行為後72時間以内に1錠
  • 妊娠阻止率
    • 24時間以内:95%
    • 25〜48時間以内:85%
    • 49〜72時間以内:58%
  • 妊娠率:添付文書では、72時間以内に服用しても約1.34%の確率で妊娠すると報告

つまり、早く服用するほど効果が高まる ことがわかります。

銅付加IUD(子宮内避妊具)

銅付加IUDは、性行為後120時間以内に子宮に挿入することで避妊効果を発揮します。
一度挿入すると数年間避妊が可能ですが、日本では2023年3月に製造終了となっています。

アフターピルの種類と違い

アフターピルには、大きく分けて2つの方法があります。

1. ヤッペ法

  • 性行為後72時間以内に中用量ピルを2錠服用し、12時間後にさらに2錠服用
  • 妊娠阻止率:約57%
  • 副作用:吐き気・嘔吐・不正出血・頭痛など(通常24時間以内に軽快)

2. レボノルゲストレル法

  • 性行為後72時間以内に1錠を服用
  • 妊娠阻止率:約95%
  • ヤッペ法より副作用が少なく、服用回数が1回で済むため実用性が高い

現在、日本で承認されているのはこの レボノルゲストレル法 です。

緊急避妊薬の注意点

緊急避妊薬は、性行為後、早い段階で服用することで効果を発揮します。

  • 早めの服用が重要:時間が経つと妊娠阻止率が低下
  • 100%避妊できるわけではない:服用後も妊娠する可能性は残る
  • 常用は推奨されない:副作用やホルモン負担の面から、あくまで「緊急時の手段」
  • 服用後の性行為に注意:再度避妊せずに行えば通常通り妊娠リスクがある
  • パートナーとの話し合いも大切:避妊は個人だけでなく双方の理解が必要

まとめ

  • 緊急避妊には アフターピル銅付加IUD がある(ただし日本ではIUD製造終了)
  • 日本で承認されているのは レボノルゲストレル法(妊娠阻止率95%)
  • ヤッペ法は妊娠阻止率が低く副作用も多いため、現在はほとんど用いられない
  • 服用は早ければ早いほど効果的
  • ただし、100%妊娠を防げるわけではない 点に注意が必要

妊娠を望まない場合は、普段からの適切な避妊方法を取り入れることが重要です。避妊やアフターピルについて疑問があれば、必ず医療機関で相談してください。

参考文献

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監修医師
赤松 敬之
赤松 敬之
医療法人星敬会 西梅田シティクリニック 理事長
平成25年3月 近畿大学医学部卒業。平成26年4月から済生会茨木病院にて内科、外科全般の研修を行う。平成28年4月より三木山陽病院にて消化器、糖尿病内科を中心に、内視鏡から内科全般にわたり研鑽を積みながら勤務。「何でも診る」をモットーに掲げる病院での勤務の中で、働き世代の忙しい方が通いやすいクリニックを目指し、令和2年9月西梅田シティクリニック開設。
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