中絶の知識

中絶手術の同意書は偽造可能?バレたらどうなる?

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

中絶手術をこれから検討している方のなかには、同意書の作成で不安になるケースがあるのではないでしょうか。
配偶者から同意書にサインしてもらえるか心配になる方もいるでしょう。
しかし、場合によっては同意書にサインをもらわなくても中絶手術が受けられるパターンもあります。
本記事では、中絶手術の同意書や手術の流れについて解説します。

中絶手術の同意書が必要な理由

妊娠後、中絶手術を受けるためには配偶者の同意書が必要です。
母体保護法では、母体の生命健康を保護することを目的として配偶者の同意があれば妊娠中絶ができると決められています。

医療機関では、同意書に本人と配偶者のサインがあるのを確認したあとでしか中絶の処置ができないことになっています。
もし、この手順が守られないまま中絶手術すると、法律違反です。
中絶手術を受ける予定のある方は必ず知っておきましょう。

ケースによっては相手の同意書が不要な場合も

実はケースによっては、相手の同意書が不要になる場合もあります。
母体保護法では、相手が妊娠中絶に同意できる環境下にいない場合や、意思を示せないとき、亡くなったときは女性のみの同意だけでいいと決められています。

また、相手がわからないときも女性の同意だけで中絶処置は可能です。
母体保護法では、暴行もしくは脅迫によって拒絶できずに姦淫されて妊娠した場合は、女性のみのサインでいいとされています。

万が一、同意書を代筆したり、偽名を使ったりしてサインしたりすると、有印私文書偽造罪となり、10万円以下の罰金もしくは1年以下の懲役になります。

未成年の場合は保護者の同意が必要

未成年の女性が中絶処置をする場合、保護者の同意が必要です。
対象者でこれから中絶手術を検討している方は、保護者へ説明し、手術承諾書に署名・捺印してもらいましょう。

中絶手術は患者さんの心と身体、そして金銭的にも大きな負担となるため、保護者のサポートが必要です。
未成年の方は、親の理解を得られるようしっかり話し合い、中絶処置を進めましょう。

医療従事者の守秘義務について

中絶手術について、周りに手術を受けたことをバレたくないと考える女性は多いです。
職場や友人、知人にバレることを恐れる方もいるでしょう。

しかしながら、中絶手術を受けたからといって、医療従事者から外部に漏れることはありません。
なぜなら、医療従事者には守秘義務があり、医業において知り得た患者情報は他に漏洩させてはいけないという決まりがあるからです。

もし罰則を破った場合、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられるため、妊娠や中絶に関する情報が医療従事者から漏れることはありません。

中絶手術の流れ

初期中絶手術の場合、以下の流れにそって手術を受けることになります。
これから中絶手術を検討する方は参考にしてみてください。

1.予約

手術を受ける前に、電話もしくはWeb予約にて診察の予約をします。
もし中絶手術を迷っている方は、クリニックで妊娠週数の確認だけでも速やかにおこなうことをおすすめします。
妊娠週数が12週を越える中絶手術になると、クリニックによっては対応してもらえないことがあるからです。

中絶手術は、入院したうえで薬剤を使用し、出産と同じように分娩で中絶しなければなりません。
心身ともに負担がかかりやすく、費用面でも大きな出費となるため、迷っている方は正確な妊娠週数をチェックしておきましょう。

2.手術前の検診

手術前には、血液検査経腟超音波検査性感染症検査を受ける必要があります。
事前に確認すべき内容は以下のとおりです。

  • 最終月経開始日
  • 最終月経日
  • 出産経験の有無
  • 喘息の有無
  • アレルギー
  • 妊娠経験の有無
  • 中絶手術経験の有無
  • 出血・つわりなどの有無
  • 既往歴や持病、服薬の有無
  • 検査薬使用の有無と結果

3.手術前の注意点

手術が午前中になる場合、手術前の飲食は前日の21時以降から不可です。
飲水は手術開始3時間前までなら問題ありません。
胃のなかに内容物が残ったままの場合、気管や肺に詰まり、窒息の原因になります。
必ず飲水・絶食のルールを守りましょう。
ネイルは手術前に落としておく必要があります。

4.手術当日について

当日は、問診にて健康状態の確認があります。
手術同意書を渡したあと、手術室へ案内され、麻酔を受けるのが一般的です。
麻酔が十分に効いていることを確認したら、手術を開始します。
手術は約10分程度で終了です。
その後は1時間程度回復室で休憩し、帰宅できます。

5.手術後の注意点

当日は車の運転はできません。また、中絶手術から3日間は安静に過ごす必要があります。手術翌日から体調が良い場合は、軽いデスクワークや労働などの仕事はできます。
手術後はしばらく出血がみられる場合がありますが、1〜2週間程度で自然に引いていくため、心配する必要はありません。

さいごに

原則として、同意書がなければ中絶手術を受けることはできません。
同意書を代筆したり、偽名を使ってサインすることは法律違反です。
適切なルールに則り、正確な内容で記入しましょう。

記入に関してご不明な点やその他不安なことがある場合は、当院までご相談ください。

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監修医師
赤松 敬之
赤松 敬之
医療法人星敬会 西梅田シティクリニック 理事長
平成25年3月 近畿大学医学部卒業。平成26年4月から済生会茨木病院にて内科、外科全般の研修を行う。平成28年4月より三木山陽病院にて消化器、糖尿病内科を中心に、内視鏡から内科全般にわたり研鑽を積みながら勤務。「何でも診る」をモットーに掲げる病院での勤務の中で、働き世代の忙しい方が通いやすいクリニックを目指し、令和2年9月西梅田シティクリニック開設。
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