性教育はどこまで受けている?10代の中絶事情

昨今、10代の妊娠中絶数が増加傾向にあります。
このような中で、性教育ではどこまでの範囲の教育をしているのでしょうか。
本記事では、10代の中絶事情として、学習指導の内容や昨今の中絶件数、中絶の費用や入院日数などを解説します。
これから中絶を検討している方や知識を深めたい方はぜひ参考にしてみてください。
学習指導(体育科、保健体育科)の内容
中学校や高等学校における体育科・保健体育科の学習指導の内容としては、以下のとおりです。
中学校
中学校の体育科・保健体育科における学習指導要領および解説としては以下が挙げられます。
- 感染症については、後天性免疫不全症候群(エイズ)および性感染症についても取り扱うものとする
- 妊娠や出産が可能となる観点から受精・妊娠を取り扱うものとする
- 思春期には、内分泌の働きによって生殖が関わる機能が成熟することや成熟にともなう変化に対応した適切な行動が必要になること(月経・射精・性衝動・異性の尊重・性情報への対処など、性に関する適切な態度や行動の選択が必要になることを理解できるようにする)
高等学校
高等学校の体育科・保健体育科における学習指導要領および解説としては以下が挙げられます。
- 感染症の予防には、個人の取り組みおよび社会的な対策をおこなう必要があること(エイズおよび性感染症についても、その原因や予防のための個人の行動選択・社会の対策についても理解できるようにする)
- 生涯を通じる健康の保持増進や回復には、生涯の各段階の健康課題に応じた自己の健康管理および環境づくりが関わっていること(受精・妊娠・出産とそれにともなう健康課題や家族計画の意義・人工妊娠中絶の心身への影響などについて理解できるようにする)
※文部科学省「学校における性に関する指導について」より
中絶件数
厚生労働省の衛生行政報告例によると、2021年度の人工妊娠中絶届出件数は12万6,174件であり、前年度から1万5,259件、10.8%減りました。
50歳以上を除くすべての年代で減少がみられています。
20歳未満に関して、詳細をみると、19歳が4,051件と一番多く、ついで18歳が2,466件でした。
人工妊娠中絶実施率は5.1で、前年度から0.7低下し、過去最低を記録しています。
20〜24歳は10.1、25〜29歳は8.4、30〜34歳は7.3でした。
一方、妊娠数中の中絶割合は、全体で13.5%で、14歳以下は79.6%、15~19歳は61.9%、45~49歳では43.9%、50歳以上で48.7%と高い割合を示している。
(2021年人口動態統計、2021年度衛生行政報告例をもとに算出「妊娠総数=出生数+中絶数)
中絶手術を受けるか悩む主な理由

中絶手術を受けるか悩む方の主な理由は以下のとおりです。
身体的理由
持病があり、出産や妊娠継続ができない場合や、高齢出産のための心身への負担・育児の心配がある場合などに悩みが起こるケースがあります。
人工中絶手術によって起こるリスク(後遺症や妊娠・出産に対しての悪影響など)が心配になり、悩みを募らせる方もいます。
心理的理由
望まない妊娠の場合、出産するか否かを悩む方は多いです。
パートナーが将来結婚する予定の方であれば出産を望むケースが多いものの、相手が妊娠継続に反対している場合は、大きな悩みとなるでしょう。
また、本人に妊娠継続の意思がないにも関わらず、男性パートナーが出産を希望する場合もあります。
出産に対して男性パートナーとの意見の違いがある場合は、お互いに納得がいくまで話し合い、自分なりの答えを出すことが重要です。
経済的理由
すでに子どもがおり、2人目・3人目・4人目と増えていくとき、複数の子どもを育てていく経済的な余裕がない場合も悩みの種になります。
また、若い段階で赤ちゃんを育てていくための財力がない場合や、手術費用を準備することが困難な場合もあるでしょう。
その他
出生前診断検査や超音波検査で精密検査を勧められた場合や、妊娠に気づかずに大量の薬を服用した場合も悩みの原因になります。
このような場合は、まず医療機関の専門カウンセラーの方に相談することをおすすめします。
中絶の時期によって費用や入院などが大きく変わります

経口中絶薬のメリット
中絶手術の費用や入院日数は、時期によって異なります。
子宮内容物を取り除き、吸引または掻爬する処置がおこなわれます。手術時間はおよそ30分で、体調に問題がなければすぐに帰宅することが可能です。
費用は10〜20万円程度です。
- 初期中絶(11週6日まで)の場合
子宮内容物を取り除き、吸引または掻爬する処置がおこなわれます。手術時間はおよそ30分で、体調に問題がなければすぐに帰宅することが可能です。
費用は10〜20万円程度です。 - 中期中絶(12週〜21週6日まで)の場合
子宮の収縮を起こし、流産させる方法であり、入院日数は2〜3日程度かかります。
費用は40〜60万円程度です。
当院では10週未満まで対応となります。
対応が遅れると母体の出血リスクなどや費用が高くなるため、注意が必要です。
性犯罪にあったり、妊娠を疑う症状が出たら、検査を受けましょう
万が一、性犯罪にあった場合は、警察や家族、養護教諭などに相談してください。
そのうえで、病院(産婦人科)に行き、診察や性感染症の検査を受けましょう。
被害から72時間以内に緊急避妊の処置を受けることで、妊娠する確率を下げられます。
また、加害者を特定できる証拠を残すことを考えてください。
たとえば、被害にあったときの衣類や下着は残しておきましょう。
周りの方たちにサポートしてもらいながら、自身ができることに少しずつ取り組んでいくことが大切です。
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