産婦人科になかなか行けない「未受診妊婦」?飛び込み出産の危険性

産婦人科に行きたくても行けない妊婦がいることをご存知でしょうか。
「未受診妊婦」が増えることで、妊婦自身だけでなく、胎児にも危険が及ぶ場合があります。
しかし、まだまだこのリスクが浸透していないこともあり、飛び込み出産になってしまう方が後を絶ちません。
本記事では、未受診妊婦による飛び込み出産のリスクや未受診妊婦が発生する社会的な背景、未受診妊婦が産婦人科に行けない心理について解説します。
妊娠が疑われるにもかかわらず、産婦人科を受診できていない方は、速やかに医療機関を受診しましょう。
後で取り返しのつかない事態に発展し、後悔することがないよう、着実に行動してください。
未受診妊婦が抱える現実。飛び込み出産がもたらすリスク
未受診妊婦とは、妊娠初期から受けるべき妊婦検診を受診していない妊婦を指します。
妊娠した場合、初期段階から妊婦健診を受診し、必要な検査を受けることで今まで把握していなかった妊婦自身の病気や胎児の異常などが発見できる場合があります。
このような場合、他の診療科と連携して治療を進めたり、分娩方法を考えたりすることで、妊婦や胎児にとってベストな選択をとることが可能です。
しかし、未受診妊婦の場合、妊娠中における妊婦の変化や異常が把握できず、妊娠週数がわからないまま分娩(飛び込み出産)しなければなりません。
万が一胎児に肺や心臓などの異常があった場合、分娩直後に急変することもあります。
このように、飛び込み出産は妊婦だけでなく、胎児にも大きなリスクを引き起こす場合があります。
中絶と未受診妊婦の関係?背景にある社会的課題とは

未受診妊婦がなぜ発生するのかを考えた場合に要因として挙がるのが、中絶です。
人工妊娠中絶を希望し、その適応があると判断された女性104例を対象にした調査によると、「産むつもりだった場合に何がきっかけで産むのを止めたのか」という質問に対して「胎児異常が心配になった」「自分または夫の仕事の都合と健康上の問題があった」「パートナーと別れることになった」「急に経済状態が悪化した」といった理由があると報告されました。
この背景にはパートナーとのコミュニケーションが円滑にできないことが要因として挙げられています。
「自分は産みたかったが反対している人を説得しようと努力していた」人に対して反対していたのはパートナーであり、初期妊娠では66.7%、中期中絶では46.2%の方がパートナーに反対されていると報告されています。
なぜ産婦人科に行けないのか?未受診妊婦の心理

大阪産婦人科医会の「未受診や飛び込みによる出産等実態調査報告書」によると、妊婦が健診を受けなかった理由としては「お金がない」「経済的に苦しかった」といった経済的な理由を挙げる方が30%にも上ることがわかりました。
次いで多かったのが「相手方に家庭があった」といった家庭の事情や「妊娠事実の受容困難」が16%となっています。
さらに「誰に相談して良いかわからない」「相談相手がいない」といった社会的に孤立していた妊婦が12%、妊娠に対する「知識の欠如」や「認識の甘さ」と答えた方が10%、7%となっています。
飛び込み出産が招く命の危険!母体と子どもへの深刻な影響

飛び込み出産は命の危険を招きます。
日本医科大学多摩永山病院が、未受診妊婦41人を分析した調査によると、4例で胎児が死亡したことが確認されました。
とくに、周産期(妊娠22週〜生後1週間)の死亡率は、通常の約15倍だったと報告されています。
病院側から搬送受け入れを拒否された結果、死産になるケースもあります。
また、飛び込み出産は妊婦や胎児に悪影響を及ぼすのが特徴です。
奈良県立医大の調査によると、妊婦の胎盤早期剥離は2人であり、通常の10倍との報告がありました。
呼吸障害など治療が必要な新生児は19人であり、通常の約20倍と報告されています。
中絶は人生における選択肢。尊重してくれる病院選びを
昨今では、10代、40代で妊娠した女性の約7割が中絶するというデータがあります。
毎日新聞の調査によると、既婚女性の78%がコンドームを避妊法として採用していながらも、4人に1人が中絶経験をもち、このうちの4割は複数回に及ぶとされています。
中絶は、人生における選択肢であり、産むことだけが美徳ではありません。
妊婦にとって「産む」ことも「産まない」ことも重みは同じです。
配偶者の合意を得たうえで、納得感をもって中絶を決めた場合は後悔したり、自分を責めたりする必要はありません。
一番大事なのは中絶を二度と繰り返さないことです。
望まない妊娠を避けるために、ピルを服用したり、コンドームを確実に使用したりして避妊対策を実践しましょう。
中絶手術を受ける際は、あなた自身を尊重し、親身になってくれる病院を選んでください。
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