中絶ってどれくらいの費用がかかる?若い世代が直面する経済的な壁

「中絶ってどれくらいの費用がかかる?」
これから中絶を検討している女性の中には、このように不安を感じる方がいるのではないでしょうか。
また、費用の工面に困り、中絶手術に踏み切ることが難しい方もいるでしょう。
本記事では、中絶費用の相場や保険適用の有無、受診が遅れるリスクや中絶費用を工面するために活用できる制度について解説します。
中絶を検討している方は、金銭的負担を減らすために、活用できる制度を上手に使用しましょう。
中絶費用の実態は?地域や状況について変動する?

中絶には初期中絶と中期中絶の2種類があります。
初期中絶とは、妊娠12週未満に受ける中絶手術です。
初期中絶は、前処置・手術・経過観察までの工程で済み、入院不要で日帰りできるため、体への負担が少なく、費用も比較的抑えられます。
また、役所への届出も必要ありません。
中期中絶は、妊娠12〜22週未満における手術です。
術前処置で子宮口や子宮頸管を開く必要があり、人工的に陣痛を起こさなければなりません。
手術後にも2〜6日程度の入院が必要になるため、心身が疲弊しやすく、金銭的な負担も相当かかります。
中絶費用は自由診療であるため、クリニックによって費用が異なりますが、以下が相場とされています。
- 初期中絶(〜11週6日):10〜20万円
- 中期中絶(12週~21週6日):40〜60万円
中期中絶は、初期中絶に比べ、3〜4倍高くなることがあるでしょう。
また、前述のとおり、中期中絶のほうが心身にかかる負担が大きくなります。
そのため、妊娠が発覚した初期の段階で中絶する決意がある方は、早めに決断することをおすすめします。
中絶費用はクリニックによって異なるため、十分に比較検討したうえで受診しましょう。
中絶費用に保険は適用されるのか?

中絶費用は、原則として健康保険が適用されませんが、以下のケースの場合は費用が軽減されることがあります。
- 母体の中で胎児がなくなってしまった場合(保険適用)
- 妊娠の継続が母体の生命を脅かす可能性があると判断された場合
(高度の医療知識に基づき、医師が中絶治療の必要性があると判断した場合に限る) - 妊娠12週以降の中期中絶の場合
とくに中期中絶手術の場合、妊娠初期の中絶手術に比べて出産と同様に費用負担が大きいため、健康保険加入者は「出産育児一時金」の支給対象となります。
ただし、経済的な事情による保険適用はされません。
また、母体保護法に基づく中絶費用は医療費控除の対象となります。
保険が適用されない場合は、妊娠12週未満である初期中絶の「望まない妊娠」のケースです。(性被害による妊娠で中絶する場合も適用されません)
しかし、性被害の場合は、警察署への申告と証明書が必要になりますが「性犯罪被害者への医療費に係る公費負担制度」が利用できます。
不明点があれば、「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」への相談がおすすめです。
中絶費用が払えないとどうなる?受診が遅れるリスクについて

中絶費用が払えず、受診が遅れると、中絶ができなくなるリスクが発生します。
なぜなら、妊娠22週以降の中絶手術は法律によって禁止されているからです。
22週を過ぎてしまうと、出産する選択肢しか残されなくなります。
とはいえ、「金銭的な事情で赤ちゃんを育てられない」「家庭環境に問題があって育てられない」といった方がいるかもしれません。
このような場合は、特別養子縁組制度や里親制度の利用を検討してみてください。
中絶費用をどう工面する?利用可能な公的支援と相談窓口

中絶費用が払えないという方は以下の制度を利用してみることをおすすめします。
必要な手続きを踏まえ検討してみてください。
高額療養費制度と医療費控除
自治体の医療費助成制度には、高額療養費制度があります。
高額療養費制度とは、月初から月末までに要した医療費が高額になり、上限額を超えた場合、超過分があとから支給される医療制度です。
上限額は所得や年齢によって異なりますが、本制度を利用することで金銭的負担が軽くなります。
また、母体保護法指定医がおこなう中絶手術は、医療費控除の対象です。
確定申告の際に領収書をベースに申告することで控除が受けられます。
これらの仕組みを上手に活用し、経済的な負担を抑えましょう。
出産育児一時金
出産育児一時金は、健康保険に加入している方であれば、死産・流産・中絶にかかわらず妊娠12週以降に出産費用の補助として支払われる助成金です。
出産育児一時金は、中期中絶後に申請することで支給されます。
必要な手続きとしては、手術後1週間以内に「死産届」と「死産証書」を役所に提出しなければなりません。
出産育児一時金制度の申請手続きをすると、支給額として1児につき42万円の一時金の受け取りが可能です。
詳しい手続き方法については、医療機関に問い合わせてください。
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