中絶費用は医療費控除できる?確定申告の書き方も徹底解説
中絶にかかる費用は決して小さくないため、「医療費控除で申告できるのか」「どこまでが対象になるのか」と気になる方もいるでしょう。
とはいえ、支払った費用をすべて医療費として扱えるわけではなく、手術費用や診察料、交通費など、費用の内容ごとに判断が分かれます。
この記事では、中絶費用が医療費控除に含められるケースや、対象になりにくい費用、確定申告に必要な書類、明細書の書き方を解説します。
申告前に確認すべきポイントを整理し、迷わず準備を進められる状態を目指しましょう。
中絶費用は医療費控除の対象になる?

中絶費用が医療費控除に含められるかは、医師による医療行為として行われたものかどうかが判断の軸になります。
まずは、対象に含められるケースと、申告時に注意したい費用の違いを解説します。
母体保護法による中絶は対象
母体保護法に基づき、医師が行う人工妊娠中絶にかかった費用は、医療費控除に含められます。
国税庁でも、母体保護法の規定に基づいて医師が行う妊娠中絶費用は、医療費控除の対象と示されています。
そのため、手術費用だけでなく、診察や検査など中絶に必要な医療費も申告時に扱える可能性もあるでしょう。
病院で受け取った領収書や診療明細書は、受診日ごとに保管しておくと、確定申告の準備を進めやすくなります。
対象外になる費用もある
中絶に関連して支払った費用でも、医療と直接関係しないものは医療費控除に含めにくいです。
たとえば、入院時に自分で購入した日用品、付き添い人の交通費、私的な買い物などは、医療費として扱いにくい支払いです。
医療費控除では、治療や診療に必要な支払いかどうかが判断材料になります。病院や薬局で支払った費用と、それ以外の生活費を分けて保管しておくと、対象外の費用を混ぜずに済みます。
中絶で医療費控除の対象になる費用

中絶に関する医療費控除では、手術そのものだけでなく、診察や検査、薬代、通院交通費なども申告時に含められる場合があります。
ここでは、確定申告前に確認したい費用をご紹介します。
中絶手術や入院の費用
中絶手術にかかった費用は、医療費控除で中心となる支払いです。
日帰り手術の費用に加え、入院が必要になった場合の入院費や、病院で提供される食事代なども、医療費として扱える場合があります。
ただし、差額ベッド代のように本人の希望で選んだ費用は、医療上必要だったかどうかで判断が分かれます。
領収書の内訳を確認し、医療に必要な費用と任意で追加した費用を分けておきましょう。
診察料や検査費用
中絶前後に受ける診察料や検査費用も、医療費控除に含められます。
妊娠週数の確認、超音波検査、血液検査、術前検査、術後の経過確認など、手術に必要な診療で支払った費用が該当します。
中絶手術は、手術当日だけで終わるとは限りません。事前診察や術後診察の領収書もあわせて保管し、医療費控除の明細書に転記できるよう、支払い先ごとにまとめておきましょう。
処方薬の費用
中絶に関連して医師から処方された薬の費用も、医療費控除に含められます。痛み止め、抗菌薬、子宮収縮を促す薬など、診療に基づいて処方された薬が主な例です。
薬局で支払った費用は、病院の領収書とは別に発行されることが多いため、紛失しないように管理しておきましょう。
市販薬については、治療目的で購入したものかどうかが判断材料になるため、購入内容を説明できるように記録を残しておくと安心です。
通院時の交通費
中絶の診察や手術、術後診察のために通院した交通費も、医療費控除に含められる場合があります。基本となるのは、電車やバスなど公共交通機関を利用した実費です。
交通費は領収書が発行されないケースもあるため、利用日、区間、金額、通院先をメモしておきましょう。
体調や時間帯などの事情で公共交通機関の利用が難しく、タクシーを使った場合は、領収書を残しておくことが必要です。
中絶で医療費控除の対象になりにくい費用

中絶に関連して支払ったお金でも、すべてを医療費として申告できるわけではありません。
ここでは、医療費控除に含めにくい代表的な費用を解説します。
ガソリン代や駐車場代
自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は、医療費控除に含めにくい費用です。
医療費控除で認められやすい通院費は、電車やバスなど公共交通機関の実費が基本とされています。
車でなければ通院できない事情がある場合でも、申告上の扱いは慎重に判断する必要があります。
自己判断で医療費に入れるのではなく、領収書や支払い記録を分けて保管し、必要に応じて税務署や税理士に確認しましょう。
入院時の日用品代
入院や手術のために購入した寝巻き、下着、洗面用具、ナプキン、飲み物などの日用品代は、医療費控除に含めにくい費用です。
入院に関連していても、生活用品としての性質が強いためです。
一方で、病院に支払う入院費の一部として請求された費用は、医療費として扱える場合があります。
購入先が病院か店頭か、医療上必要な支払いかを確認しながら分けると、申告時の判断がしやすくなるでしょう。
医療と関係のない費用
中絶に関連して発生した支払いでも、医療と直接関係しない費用は医療費控除に含められません。
付き添い人の交通費、宿泊費、食事代、仕事を休んだことによる収入減などは、医療費として扱いにくい支払いです。
また、不安を和らげる目的で購入した嗜好品や、私的なサービスの費用も控除には含めないのが基本です。
申告前には「治療のために直接必要な支払いか」を基準に見直しましょう。
中絶費用で医療費控除を受けられる条件とは

中絶費用が医療費控除に含められる場合でも、支払った金額がそのまま戻るわけではありません。
医療費の合計額や家族分の合算、補てん金額の扱いなど、申告前に必要な条件を解説します。
医療費が一定額を超えている
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に利用できる所得控除です。
一般的には、支払った医療費から保険金などで補てんされた金額を差し引き、さらに10万円または所得金額の5%のいずれか少ない金額を差し引いて計算します。
そのため、中絶費用だけで判断せず、同じ年に支払った他の医療費もあわせて確認することが必要です。
通院費、薬代、家族の医療費を含めると、控除額が出る可能性があります。
同一生計の家族分の医療費も合算できる
医療費控除では、本人だけでなく、生計を同じくする配偶者や親族の医療費も合算できます。
同居している家族に限らず、生活費を一緒に負担している家族がいる場合は、対象範囲に入る可能性もあるでしょう。
たとえば、本人の中絶費用に加えて、家族の通院費や薬代が同じ年に発生していれば、合算して医療費控除を計算できます。
誰が申告するかによって還付額が変わる場合もあるため、家族全体の医療費を一覧にしておくと判断しやすいです。
補助金や給付金は差し引く
医療費控除を計算するときは、保険金や給付金などで補てんされた金額を差し引く必要があります。
中絶費用に対して医療保険の給付金や自治体の助成などを受けた場合は、その金額を医療費から除いて計算します。
補てん金額が確定申告時点で未確定の場合は、見込額で計算する扱いになることがあります。
後から金額が変わったときは、修正申告や更正の請求が必要になる場合もあるため、受け取った書類は保管しておきましょう。
中絶費用の医療費控除で必要な書類

医療費控除を受けるには、確定申告書だけでなく、医療費控除の明細書や領収書の保管が必要です。
ここでは、申告前にそろえておきたい書類をご紹介します。
医療費控除の明細書
医療費控除を申告する際は、医療費控除の明細書を作成し、確定申告書に添付します。
明細書には、医療を受けた人、病院や薬局の名称、支払った医療費、補てんされた金額などを記入します。
医療費通知を利用する場合は、一部の記入を簡略化できることがあります。
ただし、中絶費用や自費診療の費用が医療費通知に反映されていないケースもあるため、領収書をもとに記入漏れがないか見直しましょう。
病院や薬局の領収書
病院や薬局で受け取った領収書は、医療費控除の明細書を作成するために必要です。
確定申告書に領収書を添付する必要はありませんが、税務署から確認を求められる場合に備えて、しっかり保管しておきましょう。
中絶費用は自費診療になることも多く、医療費通知に載らない可能性があります。
手術費用、診察料、検査費用、薬代などの領収書を月ごとにまとめておくと、明細書へ転記する際の負担を減らせるでしょう。
源泉徴収票や本人確認書類
会社員やアルバイトなど給与所得がある方は、源泉徴収票の内容をもとに確定申告書を作成します。
申告書には収入や所得税額などを入力するため、勤務先から交付された源泉徴収票を手元に用意しましょう。
また、マイナンバーカードや本人確認書類も必要です。e-Taxで申告する場合と紙で提出する場合では準備する書類が異なるため、申告方法に合わせて必要書類をそろえておくと手続きが進めやすくなります。
還付金の振込先口座
医療費控除によって所得税の還付が発生する場合、還付金を受け取るための振込先口座が必要です。申告者本人名義の口座情報を準備しておきましょう。
銀行名、支店名、口座番号、口座名義を正確に入力しないと、振込に時間がかかることがあります。
確定申告書を作成する前に、通帳やキャッシュカードで口座情報を確かめておくと安心です。
中絶費用を医療費控除で申告する書き方

医療費控除は、対象費用を集計し、明細書と申告書に正しく反映する流れで進めます。
ここでは、中絶費用を申告する際の基本的な書き方を解説します。
明細書に病院名を書く
医療費控除の明細書には、医療を受けた人の名前と、支払先である病院や薬局の名称を記入しましょう。
中絶費用の場合は、手術を受けた病院名、診察を受けた医療機関名、処方薬を受け取った薬局名を分けて書きます。
同じ病院に複数回通院した場合は、領収書をまとめて集計して記入できます。誰の医療費なのか、どの医療機関に支払ったのかを明確にしておくと、確認を求められた際にも説明しやすくなります。
医療費の合計額を書く
明細書には、病院や薬局ごとに支払った医療費の合計額を記入します。中絶手術費用、診察料、検査費用、処方薬代、通院交通費など、申告に含められる費用を集計しましょう。
交通費は領収書がない場合もあるため、通院日、区間、金額を記録しておくことがポイントです。
対象外の費用まで含めると申告内容に誤りが出るため、日用品代や駐車場代などは別に分けておきます。
補てん金額を書く
医療費に対して保険金や給付金、助成金などを受け取った場合は、明細書の補てん金額欄に記入します。
補てん金額は、支払った医療費から差し引いて医療費控除額を計算しましょう。
たとえば、中絶費用に関連して保険給付を受けた場合、その金額を支払った医療費から差し引きます。
補てん金額を記入し忘れると、控除額が過大になるおそれがあるため、給付通知や入金記録も確認しましょう。
申告書に控除額を反映する
医療費控除の明細書を作成したら、計算された医療費控除額を確定申告書に反映しましょう。
国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用する場合は、入力内容に応じて控除額が自動で計算されます。
紙で申告する場合は、明細書で算出した控除額を申告書の該当欄に記入します。入力後は、支払った医療費、補てん金額、控除額に誤りがないか見直してから提出しましょう。
中絶費用を医療費控除で申告するときの注意点

中絶費用の医療費控除では、領収書の保管や医療費通知の確認、判断に迷う費用の扱いに注意が必要です。
申告後に慌てないためのポイントを解説します。
領収書は5年間保管する
医療費控除では、領収書を確定申告書に添付する必要はありません。
ただし、明細書の内容を確認するため、税務署から提示や提出を求められる場合があります。そのため、領収書は原則5年間保管します。
中絶費用は医療費通知に記載されないこともあるため、領収書が申告内容を説明する重要な資料になります。
病院、薬局、交通費の記録を申告年ごとに保管しておくと、後から確認が必要になったときにもスムーズに対応できるでしょう。
医療費通知にない費用も確認
健康保険組合などから届く医療費通知には、すべての医療費が載っているとは限りません。
中絶費用が自費診療として支払われた場合、医療費通知に反映されないケースがあります。
医療費通知だけで申告準備を終えると、申告に含められる費用を見落とす可能性があります。
病院や薬局の領収書、交通費の記録、家族分の医療費を照らし合わせ、同じ年に支払った医療費を確認しましょう。
迷う場合は専門家に相談
中絶費用の医療費控除で判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認する方法があります。
特に、補助金や保険金を受け取った場合、家族が支払った場合、過去分を申告したい場合は、個別の状況で扱いが変わることがあるでしょう。
病院の領収書や支払い明細、補てん金額がわかる書類を用意して相談すると、確認が進めやすくなります。
判断が分かれそうな費用は、説明できる資料をそろえたうえで申告しましょう。
中絶費用の医療費控除に関するよくある質問

中絶費用の医療費控除では、未成年の場合やパートナーが支払った場合、過去分を申告できるかなどで迷う方もいます。
よくある疑問を整理して解説します。
未成年でも医療費控除を受けられますか?
未成年でも、所得があり確定申告の対象になる場合は、医療費控除を受けられる可能性があります。
ただし、本人に所得税が発生していない場合は、控除を使っても還付がないことがあるでしょう。
親と生計を同じくしている場合は、親が家族分の医療費として合算できるケースもあります。
誰が費用を負担したのか、誰が申告するのかによって扱いが変わるため、家族内で支払い状況を整理してから確認しましょう。
パートナーが払った中絶費用も対象ですか?
パートナーが支払った中絶費用でも、医療費控除に含められるかは、生計を同じくしているかどうかが判断のポイントになります。
夫婦や同一生計の関係であれば、申告者の医療費として合算できる可能性があります。
一方で、交際相手が一時的に費用を負担しただけの場合は、医療費控除の扱いに注意が必要です。
領収書の宛名や実際の負担者、生活費の関係を確認し、判断に迷うときは税務署や税理士に確認しましょう。
過去の中絶費用も医療費控除できますか?
過去の中絶費用でも、申告できる期限内であれば医療費控除を受けられる可能性があります。
会社員などで確定申告をしていなかった場合、還付申告として過去分を手続きできるケースがあります。
ただし、申告できる期間には期限があります。また、領収書や補てん金額の資料が必要になるため、手元に書類が残っているか確認しましょう。
申告年ごとに医療費を分け、対象になる年を間違えないよう注意が必要です。
中絶費用の医療費控除は対象費用と書類を確認しよう

中絶費用は、母体保護法に基づいて医師が行う医療行為であれば、医療費控除に含められます。
手術費用だけでなく、診察料、検査費用、処方薬代、通院時の公共交通機関の費用なども、申告時に医療費として扱える場合があります。
一方で、ガソリン代や駐車場代、入院時の日用品代、付き添い人の費用などは、控除に含めにくい費用です。
申告前には、病院や薬局の領収書、交通費の記録、補助金や給付金の有無を確認し、医療費控除の明細書へ正しく反映させましょう。
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