双子の中絶について|割合やリスク、片方だけの中絶ができるのかを解説

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

双子を妊娠したことがわかり、中絶について調べている方もいるでしょう。しかし、双子の中絶は通常の妊娠とは異なる点も多く、「片方だけ中絶できるのか」「母体への影響は大きいのか」など、疑問を抱く方は少なくありません。

また、妊娠週数や双子の種類によって選択できる治療方法が異なることもあり、正しい情報を知ることが判断の第一歩になります

この記事では、双子を妊娠した場合の中絶の可否や割合、リスク、片方だけの中絶が検討されるケースなどについて詳しく解説します。

双子を妊娠した場合中絶はできる?

双子を妊娠した場合でも、中絶が認められるケースがあります。ただし、通常の妊娠とは異なる点もあり、妊娠週数や双子の状態によって対応が変わることがあります。ここでは、中絶の可否や減胎手術との違い、対応できる医療機関について確認していきましょう。

双子でも中絶できる場合がある

双子を妊娠していても、法律で定められた条件を満たしていれば、人工妊娠中絶を受けられることがあります。基本的な考え方は単胎妊娠と大きく変わりませんが、胎児が2人いるため、妊娠経過や母体の状態を踏まえて治療方針が決定されます。

双子だからといって、必ず特別な治療になるわけではなく、状況に応じた対応が行われるのです。

片方だけの中絶は減胎手術になる

双子のうち一方の胎児のみ妊娠を終了させる治療は、一般的な中絶ではなく「減胎手術」に分類されます。一方の胎児に重い病気がある場合や、母体やもう一方の胎児への影響を考慮して検討される特殊な治療です。

減胎手術には専門的な技術が求められるため、高度な周産期医療を行う施設で実施されることが多いでしょう。また、すべての症例で適応となるわけではなく、双子の種類や妊娠経過などをもとに治療方針が決められます。

妊娠週数で対応が変わる

双子の中絶も、妊娠週数によって選択できる方法が異なります。妊娠初期は、一般的な人工妊娠中絶が行われることが多い一方、妊娠中期以降は入院を伴う処置が必要になることがあります

減胎手術についても、実施できる時期には一定の目安があります。妊娠週数が進むにつれて選択肢が限られるため、現在の状況を早めに把握しておくことがポイントです。

対応できる医療機関が限られる

双子の中絶や減胎手術は、すべての産婦人科で対応しているわけではありません。特に、減胎手術は大学病院や周産期医療センターなど、専門的な診療体制を備えた施設で行われることが多くあります。

紹介状が必要になるケースもあるため、対応可能な施設や受診までの流れをあらかじめ確認しておくと、その後の手続きも進めやすいでしょう。

双子を中絶する割合はどのくらい?

「双子を妊娠した人のうち、どのくらいが中絶を選択しているのか」と気になる方もいるでしょう。ここでは、現在わかっている情報と、中絶が検討される背景について説明します。

双子の中絶割合を示す公的な統計はない

現在、日本では、人工妊娠中絶の総件数が公表されています。年によって変動はありますが、出生数と人工妊娠中絶件数を合わせた数を基にすると、妊娠の約15%が人工妊娠中絶となっています。一方で、双子妊娠だけを対象にした中絶件数や割合を示す公的な統計はありません

数字だけで実態を判断することは難しく、それぞれの事情を踏まえて、考える必要があるでしょう。

双子妊娠でも中絶を選択するケースがある

双子妊娠であっても、さまざまな事情から中絶を選択するケースがあります。母体への負担が大きい場合や、胎児に重い病気が見つかった場合などを理由に、検討されることもあります。

双子妊娠は、単胎妊娠と比べて早産や妊娠高血圧症候群などのリスクが高いことが知られています。そのため、身体の状態だけでなく、生活全体を見据えて判断されることも少なくありません。

医学的・社会的な事情を踏まえて判断される

双子妊娠における中絶は、一つの理由だけで決まるものではありません。母体や胎児の状態に加え、育児環境や仕事、経済状況など、さまざまな要素を考慮しながら治療方針が検討されます。

双子の妊娠・出産は通院回数が増えたり、出産後の育児負担が大きくなったりすることもあります。こうした背景も含め、自分や家族にとって、納得できる選択を考えていくことが求められるでしょう。

双子の中絶に伴うリスクとは

双子の中絶では、通常の中絶と同様のリスクに加え、子宮が大きくなっていることなどから身体への負担が増すことがあります。影響の程度には個人差があるため、事前にどのようなリスクが考えられるのかを知っておきましょう。

出血量が多くなる場合がある

双子妊娠では、子宮が通常より大きくなっているため、中絶後の出血量が増えることがあります。多くは時間の経過とともに落ち着きますが、妊娠週数や処置内容によっては出血が長引くケースもあります。

術後は安静を保ちながら、出血量や体調の変化を観察して過ごしましょう。医師から説明された注意事項を守ることも、回復を支えるポイントの一つです。

子宮への負担が大きくなりやすい

双子妊娠で、子宮が大きく伸びているため、中絶後は元の状態へ戻るまでに時間がかかることがあります。その過程で、子宮収縮による痛みや疲労感が続くこともあり、回復には個人差があるでしょう。

また、妊娠週数が進んでいるほど処置の内容も変わるため、身体への影響も異なります。術後は無理をせず、十分な休養を取りながら回復を待つことが大切です

精神的な負担を感じることもある

中絶後は身体だけでなく、心にも大きな変化が現れることがあります。双子妊娠では「2人だった」という事実から、悲しみや喪失感、自責の念などを抱く方も少なくありません。

気持ちの整理に時間がかかることは珍しいことではなく、心身の回復には個人差があります

焦って気持ちを切り替えようとせず、自分のペースで過ごすようにしましょう

双子妊娠で片方だけの中絶はできる?片方だけ中絶が検討される場合3選

双子妊娠では、状況によって片方の胎児のみを対象とした治療が検討されることがあります。ここでは、片方だけの中絶が検討される主なケースを紹介します。

一方の胎児に重篤な先天性疾患がある場合

双子のうち一方の胎児に、生命に関わる重い先天性疾患や重度の染色体異常などが確認された場合は、減胎手術が選択肢となることがあります。

ただし、診断結果だけで実施が決まるわけではありません。疾患の種類や重症度、妊娠週数、もう一方の胎児への影響などを総合的に検討し、それぞれの状況に応じた治療方針が決定されます

一絨毛膜双胎に特有の合併症がある場合

一絨毛膜双胎では、胎盤を共有しているため、双胎間輸血症候群など特有の合併症が起こることがあります。重症化すると、両方の胎児へ影響が及ぶ可能性もあるため、減胎手術が検討されるケースがあります。

一方で、病状によってはレーザー治療など別の治療法が適応となることもあるでしょう。どの方法を選択するかは、合併症の程度や妊娠経過をもとに判断されます。

母体の健康リスクが高い場合

母体に重い基礎疾患がある場合や、妊娠の継続によって生命や健康への影響が大きいと考えられる場合も、減胎手術が検討されることがあります

例えば、心疾患や重度の腎疾患など、妊娠によって病状の悪化が懸念されるケースでは、母体の安全性を最優先に考えることがあるでしょう。処置の適応は、疾患の種類や妊娠経過などを踏まえ、一人ひとりの状況に応じて判断されます。

双子の中絶を考えたときに確認したいこと

双子の中絶を検討する際は、受診前に整理しておきたいポイントがあります。現在の妊娠の状況や治療に関わる情報を把握しておくことで、医師からの説明も理解しやすくなるでしょう。

現在の妊娠週数

妊娠週数は、中絶方法を決める際の基準となります。妊娠初期と中期では処置内容や入院の有無が異なり、対応できる医療機関も変わることがあるでしょう。

また、減胎手術を検討する場合にも、実施できる時期には目安があります。現在の妊娠週数をしっかり把握し、選択できる治療方法を医師に確認しましょう

一卵性か二卵性か

双子が一卵性か二卵性かによって、治療方針に影響することがあります。特に、一卵性双胎では胎盤や血管を共有しているケースがあり、一方の胎児への処置がもう一方へ影響を及ぼす可能性もあります。

超音波検査では、絨毛膜性や羊膜性も含めて詳しく確認します。双子の種類は治療方法を考えるうえで欠かせない情報の一つです。

母体の健康状態

持病の有無や妊娠高血圧症候群などの合併症によっては、治療方法や術後の管理が変わることがあります。双子妊娠では、身体への負担が大きくなりやすいため、健康状態もあわせてチェックされる項目です。

服用中の薬や過去の手術歴、出産歴なども治療方針を決める際の参考になります。診察時には、気になる症状も含めて医師に伝えましょう。

費用や入院の有無

双子の中絶にかかる費用や入院期間は、妊娠週数や治療内容によって異なります。妊娠初期であれば日帰りで対応する医療機関もありますが、中期以降は入院を伴うことが一般的です

また、減胎手術は専門施設で行われることが多く、費用も通常の人工妊娠中絶とは異なる場合があります。あらかじめ治療費や入院期間の目安を把握しておくと、その後の準備を進めやすくなるでしょう。

双子の中絶に関するよくある質問

双子の中絶については、手術方法や身体への負担、費用など、さまざまな疑問を抱く方がいます。ここでは、受診前によく寄せられる質問をまとめました。

双子の中絶は日帰りでできますか?

妊娠初期であれば、双子の中絶でも日帰りで対応している医療機関があります。ただし、母体の健康状態や妊娠週数、処置内容によっては、経過観察のために入院となるケースもあります。

また、妊娠中期以降は入院を伴う処置が一般的です。治療方法は診察結果をもとに決まるため、事前に流れを確認しておくと安心でしょう。

次の妊娠に影響はありますか?

適切な方法で中絶を受け、術後の経過が順調であれば、その後の妊娠が難しくなるとは限りません。多くの場合、子宮の回復後には再び妊娠を目指すことができます。一方で、感染や子宮内癒着などの合併症が生じた場合は、将来の妊娠へ影響を及ぼす可能性があります。術後は決められた診察を受け、子宮の回復状況を確認していきましょう。

双子の中絶は通常の中絶より痛いですか?

痛みの感じ方には個人差があり、双子だから必ず強い痛みが生じるわけではありません。ただし、子宮が大きくなっていることや妊娠週数によっては、術後の子宮収縮に伴う痛みを感じやすいことがあります。

手術中は麻酔を使用することが一般的で、術後の痛みに対しては鎮痛薬で対応することもあります。不安がある場合は、あらかじめ麻酔方法や術後の痛みについて説明を受けておくと安心です

双子の中絶は保険適用になりますか?

人工妊娠中絶は、原則として健康保険の対象外であり、双子の中絶も自由診療となります。そのため、費用は全額自己負担です。

一方で、母体の病気に対する治療や流産処置など、診療内容によっては保険診療となることがあります。費用は医療機関によって異なるため、診察時に質問してみましょう

双子の中絶は早めに医療機関へ相談しましょう

双子を妊娠した場合でも、条件を満たせば人工妊娠中絶が選択肢となることがあります。一方で、妊娠週数や双子の種類によって治療方法が異なり、片方のみを対象とする場合は減胎手術が検討されるなど、通常の妊娠とは異なる点も少なくありません。

また、身体への負担や治療後の経過には個人差があるため、不安や疑問を一人で抱え込まず、正確な情報をもとに判断することが大切です

西梅田シティクリニックでは、中絶に関するご相談を受け付けています。一人ひとりの状況に合わせて丁寧にお話を伺い、治療方法や費用、術後の経過についてわかりやすくご説明しています。

双子の中絶について不安や疑問がある方は、中絶お悩み相談サイトをご覧ください。

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監修医師
赤松 敬之
赤松 敬之
医療法人星敬会 西梅田シティクリニック 理事長
平成25年3月 近畿大学医学部卒業。平成26年4月から済生会茨木病院にて内科、外科全般の研修を行う。平成28年4月より三木山陽病院にて消化器、糖尿病内科を中心に、内視鏡から内科全般にわたり研鑽を積みながら勤務。「何でも診る」をモットーに掲げる病院での勤務の中で、働き世代の忙しい方が通いやすいクリニックを目指し、令和2年9月西梅田シティクリニック開設。
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